2016.12.12

iDEPではなくADEP

企業内で独自のアプリケーションを開発して配布するのに必要なApple社との契約である iOS Developer Enterprise Program。関係者の間ではこれを「アイデップ」と発音されることが多いです。業務用のアプリ開発案件に携わったことのある方は聞いたことがあると思います

このiDEPが、2015年からADEP(Apple Developer Enterprise Program)と名称を変えていることをご存知でしょうか。

全部ひっくるめて Apple Developer Program

変わったのは、2015年6月に行われたWWDCの時期。

watchOS 向けにネイティブアプリを作れるようになって、AppleTV 上の tvOS 向けにもアプリを作れるようになった際に、それまであった Mac AppStore 向けの Program も Safari Extension 向けの Program も全部統合してしまおうということになったのです。こうして生まれたのが、Apple Developer Program

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単に統合されただけではなく、開発途中のものを指定した端末に転送できる AdHoc 配布の台数がiPhoneで上限100台、iPadで上限100台というように、カテゴリ毎の上限となって使い易くなったことも開発者界隈では大変評価されました。

これに併せて、iOS Developer Enterprise Proggram も同時期に Apple Developer Enterprise Program と名前を変えました。勿論、企業内向けに配布可能な AppleTV アプリや AppleWatch アプリも作ることができます。

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結果、2016年6月以降は、Developer Program は以下3種類となりました。

Developer Program の種類 対象
Apple Developer Program
(旧 iOS Developer Program)
AppStore向けのアプリ開発に
Apple Developer Enterprise Program
(旧 iOS Developer Enterprise Program)
in-houseアプリの開発に
iOS Developer University Program 大学での教育用途に

3つ目の University だけが何故か「iOS」のままなのですが、これには理由があります。

University Program は大学等の教育機関でiOSアプリを作るためだけに使える教育プログラムで、ここに MacApp や tvOS用App は含めないというのが Apple の方針だからです。その為、University についてのみ iOS のまま変わらずです。

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University Program はなかなかハードルが高く、教育機関であることの証明提示やアプリ開発カリキュラムを作る事を示す必要があります。教育機関の関係者の方は、AppleのFAQページを参照されると良いでしょう。

ADEP(エーデップ)という呼称は浸透してない

2015年6月以降はiDEPのことをADEPと呼ぶのが正しいのですが、残念ながらADEPと言っている人は聞いたことがありません。

実質、企業における専用アプリはiOS向けに限られることが多いですから、これからもきっとiDEP(アイデップ)と呼ばれ続けることでしょう。

2016.11.28

iOSアプリの署名とDeveloper Programの関係

iOSには安全性を担保する為に、各アプリが誰によって作られどのように配布されているのかを検証する仕組みが備わっています。その為、全てのiOSアプリにはデジタルの名札のようなものが紐付けられるようになっていて、それを署名(CodeSign)と言います。

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(Thanks! The photo on flickr by Sebastien Wiertz CC BY 2.0)

Developer Program は署名の為に必要

通常、署名はアプリ開発環境であるXcodeで行われます。

アプリがインストールされる時起動される時、iOSは各アプリの署名を見て、

  • 誰がこのアプリを作ったのか
  • まだ起動が許される期間かどうか
  • この端末で起動させても良いアプリかどうか

などの確認を行います。アプリに開発者名と制約条件が書かれた名札のようなものが紐付いているとイメージすると良いでしょう。

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この署名に必要なのが、証明書や秘密鍵、プロビジョニングプロファイルと呼ばれるもの。実態は拡張子が .p12 や .mobileprovision のファイルですが、これを先の例えでいうところの名札としてアプリに紐付けるのが、署名という行為です。

Apple社との開発者契約(Developer Program)は、これらアプリの署名に欠かせないファイル群を継続的に入手する為に必要となるものです。契約は毎年の更新が必要です。

Developer Program の契約をしなければ、署名に必要な証明書やプロビジョニングプロファイルを入手できません。署名ができないということは、Xcodeでアプリを開発してもiOSデバイスにインストールできないということです。「別にシミュレータ上だけで充分」という場合には Developer Program の契約は不要です。

Developer Program には以下のように3種類あります。

Developer Program の種類 対象
Apple Developer Program
(旧 iOS Developer Program)
AppStore向けのアプリ開発に
Apple Developer Enterprise Program
(旧 iOS Developer Enterprise Program)
in-houseアプリの開発に
iOS Developer University Program 大学での教育用途に

これらDeveloper Programの種類とアプリの署名は密接に関連しています。

必要な署名の種類で契約が異なる

iOSは、アプリの署名を検証する際、「誰が作ったのか」に加えて「どのような範囲で配布されるのか」を見ます。この「配布の範囲」の数だけ署名にも種類があります。配布とはインストールさせる(して貰う)ということですが、一口に配布といっても範囲は色々。

  1. 開発途中のアプリを開発者本人が自分のiPhoneにインストールする
  2. 開発中のアプリを身近な関係者に少し見てもらう為にインストールさせる
  3. AppStoreから世界の不特定多数の人に配布する
  4. 企業が自社専用のアプリを従業員に提供する

誰が作ったアプリかというのは一緒でも、どのような範囲で配布するのかでこれだけの種類があります。全部で4種類で、Developer Program の種類によって署名できるものが違ってきます。

配布形態 (a) development (b) AdHoc (c) AppStore (d) InHouse
配布範囲 開発担当者 プロジェクト関係者 全世界(または指定国) 特定企業内
誰の端末 開発者 非開発者で関係者 不特定の一般ユーザ 特定企業内のユーザ
いつ 開発中 開発中・評価中 リリース リリース
どうやって USB USB/OTA AppStore USB/OTA

Apple Developer Program で対応可能な配布形態

development, AdHoc, AppStoreの3種類の署名ができるのが Apple Developer Program です。つまり、開発者が自身のデバイスにインストールし、身内関係者や限られた顧客の為にも配布ができ、最終的にはAppStoreで公開もできる契約です。

配布形態 development AdHoc AppStore in-house
配布範囲 開発担当者 プロジェクト関係者 全世界(または指定国) 特定企業内
誰の端末 開発者 非開発者で関係者 不特定の一般ユーザ 特定企業内のユーザ
いつ 開発中 開発中・評価中 リリース リリース
どうやって USB USB/OTA AppStore USB/OTA

Apple Developer Enterprise Program で対応可能な配布形態

development, AdHoc, InHouse の3種類の署名ができるのが Apple Developer Enterprise Program です。前述の Apple Developer Program との違いは、AppStoreが選択できない代わりにInHouseの配布形態を選べることです。

配布形態 development AdHoc AppStore in-house
配布範囲 開発担当者 プロジェクト関係者 全世界(または指定国) 特定企業内
誰の端末 開発者 非開発者で関係者 不特定の一般ユーザ 特定企業内のユーザ
いつ 開発中 開発中・評価中 リリース リリース
どうやって USB USB/OTA AppStore USB/OTA

iOS Developer University Program で対応可能な配布形態

これは多くの人には馴染みがない契約ですが、大学等でiOSアプリ開発を教育目的で行う場合に必要です。development, AdHocの署名しかできません。そもそも学内教育目的であれば公開という概念が存在しませんから理にかなっていると言えます。

配布形態 development AdHoc AppStore in-house
配布範囲 開発担当者 プロジェクト関係者 全世界(または指定国) 特定企業内
誰の端末 開発者 非開発者で関係者 不特定の一般ユーザ 特定企業内のユーザ
いつ 開発中 開発中・評価中 リリース リリース
どうやって USB USB/OTA AppStore USB/OTA

このように、iOSアプリは署名によって、誰がどんな対象に配布しようとしているアプリなのか定義されるようになっています。Appleは各配布形式に対応した署名用ファイルの取得のできる/できないを契約毎に変えることによって、アプリの配布をコントロールしているのです。

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(Thanks! The photo on flickr by Jason Farrell CC BY 2.0)

業務用iOSアプリでは、配布形態を意識する

企業でiOSアプリを開発/活用する場合、そのアプリをどう提供するのか正しく意識しておく必要があります。

一口に企業が使う業務アプリと言っても、企業内はInHouseだからADEPだ…とはなりません。場合によってはAppStoreの配布が適当である場合もあります。VPPやCustomB2Bと呼ばれる手法を組み合わせるべき時もあります。

下手な運用をすると厳しいADEPの制限に抵触してしまい、InHouseの形態で配布した業務アプリがある日突如として起動しなくなる、といった最悪の事態に陥る可能性もあるのです。(実際に面識のない企業様から緊急の相談連絡を頂いたこともあります)

企業のiOSデバイス活用では、アプリをどう配布するのか常に意識しておきたいものです。できれば、業務用アプリの開発を委託する場合には、開発会社がこれら配布形態の違いを説明できるかどうかは確認されることをお勧めします。

2016.11.15

なぜ企業でiOSデバイスが選ばれるのか

2008年7月iPhoneが日本に上陸。当初は「単なるデジタルオモチャだ。流行るはずが無い」と言われるなど散々バカにされていました。しかし2010年5月のiPad日本上陸の時期からでしょうか、iOSデバイスの業務活用の気運が急速に高まり、8年以上が経った今もiOSデバイスが選ばれる傾向があります。

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(Thanks! the photo on flickr by ClearFrost CC BY-SA 2.0)

AndroidやWindowsも選択肢としてありますが、iOSを駆逐するには至っているとは到底言えません。なぜiOSが選ばれるのでしょうか。

弊社(フィードテイラー)では、2008年にiPhoneアプリ開発を始め、2010年からエンタープライズiOS向けサービスの開発に進めていく中で、iOSデバイスが業務活用されていく現場を目の当たりにしてきました。数々の御支援もさせて頂いてきましたが、iOSが選ばれる理由は、ただ単に格好良いとか、先進的だという感覚的なことではありません。

本質的な理由はズバリ、業務でデバイスを活用/運用し易い仕組みがOSレベルで整備されているからです。業種業態を問わず、文字通りコンピュータを1人1台持って仕事をこなす時代を支えるOSとして、

  • 万全のセキュリティ
  • 集中管理の仕組み
  • 遠隔操作や末端の情報収集の仕組み
  • 業務用アプリの開発や配布の仕掛け
  • 既存業務用インフラとの連携
  • 市販アプリの大量購入
  • 端末のキオスク化

…等々、ありとあらゆる業務用件を満たすようiOSは年々進化してきました。とかく、Consumer向け新機能ばかりが話題になるiOSですが、iOSの歴史はエンタープライズへの歩み寄りの歴史でもあるのです。

2008年来、スマートデバイスの業界に身を置く専門家として言えるのは、導入・保守・運用等々を考えるとAndroidもWindowsもiOSの足元にも及ばないということ。Androidは5.0以降、Windows は10 Mobile以降、ようやく整備されはじめてきた感がありますが、専門家視点で言えば「まだまだ…」です。

また、業務利用を意識したiOS界隈には、当然のように早くから業務活用ソリューションが多数生まれてきました。ファイル共有、ペーパレス会議、データベース、電子帳票化、SFA、POSレジ、チャット…。すぐに使える既存サービスが数多くあることも企業がiOSを選ぶ理由の一つです。

今後はどうなるか分かりません。ただひとつ言えるのは、エンタープライズのモバイル活用にはiOSに一日の長があることと相変わらずの進化の速さから、iOSは今後もエンタープライズ分野で一定の存在感を示し続けるだろうということです。

世間にはエンタープライズiOSの情報(特に技術的な情報)が少ないことを鑑み、本サイトでは業務活用に絡むiOSのトピックスについて重点的に発信していきたいと考えています。

2016.10.27

モバイルの導入効果を最大化する為に

昨今、働き方改革の話題が持ちきりですが、中でも長時間労働問題をいかに解決するかは改革の中心を成す大きなテーマとなっています。その解決の為に重要な役割を担うようになってきたのが、iPhoneをはじめとするスマフォやタブレット。

これらを巧く活用することで、

  • 無駄がなくなり経費を削減できる
  • コミュニケーションスピードが上がる
  • 長時間労働が抑制できる
  • 生産性が向上し売上増に繋がる

というメリットを最大限に享受することができます。モバイルは仕事の在り方や進め方さえも根底から変えてしまう「改革」のツールであり、働き方改革とはモバイルをいかに活用するかにかかっていると言っても過言ではありません。

スマフォやタブレットにより、「いつでも」「どこでも」「だれでも」、高性能コンピュータの恩恵を受けられるようになりました。これらを有効活用しなければ時代に取り残される…という危機感が正しい時代認識でしょう。

しかし、ひとことに「業務でモバイルを活用する」と言っても、タブレットとスマフォのどちらが良いか、使うアプリやサービスはどうするのか、あるいは自社内で内製すべきなのか、集中管理はどうするのか…。

考えるべきことは膨大にあり、課題の当事者であってもベスト解にたどり着けないことが往々にしてあります。その為、流行りに任せて導入したまま引き出しの肥やしになった例も見聞きします。

そういった事態を避ける為、課題を分析し、最適なソリューションを組み合わせ、そして時にはオリジナルのアプリ内製を御提案し、階段を1つ1つ登っていくことをお手伝いさせて頂くのが、MICSSです。モバイル活用をご支援するコンシェルジュサービスのようなものとお考え下さい。

当社フィードテイラーは、2008年にいち早くスマートフォン・タブレット事業に特化をし、iOSのアプリ開発はもとより、企業向けの業務系アプリの受託開発やノウハウの発信、コンサルティング、B2B向け自社サービスの企画・開発・販売・運営まで、モバイルを中心とした幅広い経験を積んでまいりました。

それら膨大な知見を総動員し、お客様のモバイル活用を成功に導けるよう御支援させて頂きます。最初から大きく構える必要はありません。たった1つの取組みをするだけで、働き方が劇的に改善されることもあります。無償でお問い合わせ頂くことが可能ですので、是非お気軽にお問い合わせ下さい

2016.10.15

MICSSブログの主旨

このMICSSブログは、エンタープライズiOSの分野を中心に、企業におけるモバイルデバイス(スマートフォン・タブレット)の活用について情報発信を行うために開設されました。

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(Thanks! The photo on flickr by NEC Corporation of America CC BY 2.0)

iOSアプリ開発者向けの情報というよりも、企業の情報システム部門の方や、弊社同様に企業様のiOSデバイス活用支援をされるような方々を想定読者としています。弊社が2010年来、企業様のiOSデバイス活用を直接または間接的にご支援させて頂く中で得た知見を中心に、以下のような内容を発信していく予定です。

  • 企業向けiOSアプリの開発に絡む各種情報
  • 企業向けの既製ソリューションやサービス紹介
  • 企業のモバイル活用動向

現在進行中のiOSデバイス活用ご支援の活動の中からも御紹介可能なTipsやノウハウがあれば随時掲載していきます。

また、御覧頂いている方からの質問等も随時受け付けております。企業におけるiOSデバイス活用や、その他、既存のソリューションについての御質問でも結構ですのでお気軽にこちらの問い合わせフォームからお寄せ下さい。(お問い合わせ頂いた内容は具体的な名称等は伏せた形で本ブログで紹介させて頂くことがあります。公開不可の御質問は有償のコンサルティングとなりますので別途御相談下さい)

モバイルデバイスの業務活用がこれほどまでに進んでいながら、余り情報が多く公開されていないことから、弊社のノウハウをまずはアウトプットさせて頂くことにしました。様々な企業様におけるiOSデバイス活用の一助となれましたら幸いです。

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