2023.11.13

カスタムAppのアプリ審査についてよくある誤解(1) 〜 審査には時間がかかる〜

前回、業務用AppStoreアプリでの審査について書きました。

業務用AppStoreアプリで審査にリジェクトされないために読んでおくべき公式ドキュメント

AppStoreアプリの審査については、紹介したリジェクト(審査不合格)に関する質問以外にも多く頂きます。しかし、大半の質問の背景には噂や想像や大昔の伝聞に惑わされている誤解が結構あると感じます。


(審査に関するApple公式ページ。ここに多くの誤解を解くヒントが詰まっている)

そこで、弊社経験とApple公式の2023年時点の最新情報も織り交ぜつつ、業務用iOSアプリ関係者が持ってしまいがちなカスタムAppアプリ審査の誤解を、シリーズで幾つか紹介していきたいと思います。

初回の今回は「Appleのアプリ審査には物凄く時間がかかる」という誤解。審査期間は誰もが気になることのようで御相談を頂くとほぼ100%質問を頂きます。

 

結論 : 思う程かからない

結論をいきなり書くと、極めて特殊な例を除けば AppStore アプリの審査に時間はほとんどかかりません

Appleの審査にはものすごく時間がかかるもの…と仰る方は、そもそもAppStoreアプリに関わったことがないか、経験があるとしても数年〜10年以上前の経験だけで言っている、のいずれかでしょう。昨今では2,3日も見積もれば十分過ぎる程です。

具体例があったほうが分かり易いと思いますので、以下に弊社のあるアプリ(非公開のカスタムApp)の審査履歴を示します。2021年の例です。


(App Store Connect では審査の履歴を見ることができる)

AppStore アプリが初めての方には専門用語がありすぎて何のこっちゃ…かも知れません。


(研修資料から。代表的な状態遷移)

詳細な解説は本稿の主旨と異なるので避けますが、アプリにはステータスがあります。そして、そのステータス(状態)が変化していきます。目指すのはリリース済みを意味する緑色の「配信準備完了」の状態。ここでもう一度先の状態遷移履歴を示します。

「ユーザ」列は誰がその状態にしたのか、「日付」はその状態に変わった日時で、どれぐらい審査に時間がかかっているか分かります。

実際に読み解いてみると…

2021年1月29日 11:05の「審査待ち」となった瞬間がまさに審査に提出したタイミング。その約5時間半の同日17:38に審査対象となってますね(審査中)。その50分後の同日18:28に「デベロッパーによるリリース待ち」となったことがわかります。これで審査完了。あとはデベロッパー(つまり弊社)がリリース操作をするだけです。(手動リリースを選んだアプリだから)

リリース操作が翌日の2021年1月30日 14:50。24時間近く間が空いていますが、Appleに待たされていた訳ではありません。弊社のリリース操作が即時ではなかったからですね。即時リリースしたい場合は自動リリースの設定にします。…が、業務用アプリでは現場の混乱必至なのでお勧めしません。

ということで、上記例の審査所要時間は「審査待ち」から「デベロッパーによるリリース待ち」までの実質7時間半だった、ということになります。

思ったほどにはかからないと思われないでしょうか?時差の関係もありますが、タイミングが良ければ1,2時間で審査結果が返ってくることもあります。

 

公式に9割が24時間以内とされている

冒頭に紹介したAppleの公式ページ App Review には以下のような記載があります。

審査の所要時間は、9割のアプリで24時間以内なのです。もちろん審査NG(リジェクト)されると再審査ですが、審査そのものはそんなに待たないということです。

iOSが日本に上陸した2008年やその後数年の黎明期は、Apple側の体制も不十分だったり、App Review Guideline の整備も不足していたり、Apple も審査に不慣れだったりで、審査を待って2週間、ちょっとした修正でも下手したら1ヶ月かかってもリリースできない…なんてこともありました。弊社も当時は「提出してから2週間〜1ヶ月は見込んで下さい」とお客様に伝えていたものです。

ですが、Appleは審査の体制を強化しています。上図の「90%が24時間以内」の記載は、少し前までは「80%が24時間以内、90%が48時間以内」でした。審査にかかる時間は徐々に短くなっています。

ただ、常に24時間以内と限りませんし、公式情報に記載のない留意すべき傾向があります。

 

初審査に時間がかかる?

アプリの審査は「初回バージョンは遅い、バージョンアップは早い」と言われます。これは公式情報には明確な記載はありません。実際のところどうでしょうか。以下の図をご覧下さい。あるアプリの初回バージョンの審査履歴です。

初回の「審査待ち」となった2022年5月27日 14:35が提出した瞬間です。その14時間後の翌日4:26に審査が始まります(審査中)。そして約2時間後の6:43に審査完了でNG回答(却下済み)です。

指摘の修正に時間を要して、再提出したのは6月4日 13:26(2回目の審査待ち)です。その9時間後に2回目の審査が始まり(2回目の審査中)、その90分後には審査に合格し「デベロッパによるリリース待ち」状態となったことが分かります。結果的に初回提出から1週間程を要しています。

総所要期間はさておき、まず初審査の結果(NG)が出るのが14時間ということですから、前項の例(7時間半)に比べて時間がかかっているような気はしますね。

もう一つ例を示しましょう。また別のアプリの初回バージョンです。

こちらは初審査の結果(NG)に24時間以上待っていますね。実に37時間(7月13日 18:44 〜 7月15日 9:38)です。これぐらい待たされる場合もあるにはあります。

が、実は理由が1つあります。審査提出をして「審査待ち」状態になったのは 2020年7月13日 18:44 で、これは月曜日の夕方、しかも日本時間です。米国では7月12日で日曜日ですね。まぁつまり、そういうことです。公式情報がある訳ではないですが、米国時間の日曜日は待たされ易いというのも傾向としてあるようです。

本件の見かけ上の初審査所要時間37時間から24時間を差し引くと13時間。いずれにしてもやはり、最初の例に比べるとかかってる方です。

いかがでしょうか。

上記の2例から、初めての審査には結果が出るのに時間がかかる傾向があるのが感じて頂けるでしょう。弊社が関わったアプリの全履歴を示すことはしませんが、他アプリもほぼほぼ同様であり、やはり初審査は時間がかかる傾向は確かに感じますので、その認識を持っておくのは賢明だと思います。

 

ということで、審査に昔ほどには時間がかからないこと、とはいえ初審査は比較的長くなりがちなことを紹介しました。公式にも9割が24時間以内と表明されていることも示しました。本投稿が審査の感触を得る助けになればと思います。

ところで、紹介した初回バージョンの審査履歴の画面キャプチャでいずれもNG(リジェクト)を受けていることに気が付かれた方もおられるでしょう。実はそうなんですよね。これも実は傾向の一つです。初審査では審査NG(リジェクト)を食らうことが多いです。

こうした審査の傾向を踏まえたカスタムApp開発スケジュールの工夫については、また別途紹介したいと思います。

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