2024.2.19

ADP の App Store Connect でユーザ招待する時に知っておくと良い豆知識

カスタムAppの開発では、ADP(Apple Developer Program)の契約をすると使えるようになる Apple DeveloperApp Store Connect の両方を使いこなす必要があります。

両サイトにはユーザという概念があり、適切な人を適切な権限で招待するために「役割」を正しく理解する必要があるということを以前に書きました。

本稿では、ユーザのメールアドレスと姓名について、知っておくと良いプチ情報を幾つか紹介します。

App Store Connect は余り親切な設計になっていませんので、本稿で紹介することをあらかじめ知っていると、いざという時に詰まることが避けられるかも知れません。目次は以下の通り。

では順番にみてみましょう。

 

姓名にアンダースコアは使えない

App Store Connect にユーザ招待する場合、ユーザの名前を「姓」「名」に分けて入力する欄があります。その両方の入力欄で、アンダースコアが使えません。

部門名等の属性情報も一緒入れておきたい…ってな時に遭遇しがちな問題です。上図の通りエラー文言で教えてくれますが、実は正確ではありません。スペースが利用できます。姓名情報に何か属性情報的なものを付加したい場合は、ピリオド・ハイフン・スペースを使うと良いでしょう。

 

UIが変更されることがある

App Store Connect の UI は時々ひっそりと通知もなく変更されます。ユーザを招待するUIも例外ではありません。

以下画像は、2024年2月時点の新規ユーザ招待画面です。冒頭にも同じ画面を載せました。実はこの画面が何度も変更されています。

以下は、同じ画面の2023年10月時点のキャプチャです。違いが分かるでしょうか。

メールアドレス入力欄の幅が違っていて、最下部のアプリ項目の有無(次の画面に移っただけ)も相違点です。加えて驚くべきは、一番上の「姓」「名」欄の順番が入れ替わっていることです。さすがに普通はやらない変更ですよね😳

ブラウザの言語設定によるものでもないため理由は謎ですが、このように App Store Connect ではUIが変更になることが時折あることは知っておくと良いでしょう。(Appleは過去にユーザの「役割」設定の UI を変更し、致命的なバグを発生させていたこともありますので油断できません)

 

メールアドレスに + を使えない

Google の Gmail を常用している方にはお馴染みの機能です。これが使えません。

ご存知ない方のために説明すると、一部のメールサービスではアドレスのアットマーク(@)の自分の名前の後に + と任意文字列を追加して擬似的にメールアドレスを量産できる仕組みがあります。Plus Addressing と呼ばれるもので、Gmail や Exchange Online が当該機能を備えています。

例えば、bob@example.com のメールアドレスを持つボブさんが、メールマガジン受信用メールアドレスとして bob+mailmagazine@example.com を勝手に作ることができます。当該メールアドレス宛のメールは全て bob@example.com の受信箱に届きます。

これを Plus Addressing (Sub Addressing と呼ぶこともある) と言い、App Store Connect でユーザ招待する際に使いたくなる場合があります。App Store Connect 用のメールアドレスだ、という意味で bob+appstoreconnect@example.com ってな感じで登録したくなるわけですね。

が、下図の通りエラーとなります。


(無効であるとしか表示されない不親切なエラー。パッと見で原因が分からず混乱する)

過去にはokだったのですが、2024年現在、App Store Connect に招待しようとするユーザのメールアドレスに Plus Addressing なメールアドレスは指定できません

どうしても App Store Connect 用の意味づけを与えたメールアドレスで既存のアドレスと同じ受信箱に届くようにしたい場合は、エイリアスかメール転送を使いましょう。業務用途のメールサービスでは、いずれも管理部門での設定が必要になる場合が多いですので担当部門に相談して下さい。

 

メールアドレスには Managed AppleID も指定できる

ABM(Apple Business Manager)には、Managed AppleID と呼ばれる特別な AppleID が存在します。従業員用の AppleID を企業が自由に作成できる機能です。


(ABMで特別な AppleID を作成する様子。任意数作成可能。ABMについてはこちら)

活用されている例は多くはありませんが、実は ABM 上で作成した Managed AppleID を App Store Connect のユーザとして招待できます。

従業員が自身の会社用メールアドレスを appleid.apple.com で AppleID として登録済みの場合は役に立ちませんが、App Store Connect に招待するためだけの AppleID を新たに用意したい場合には活用できます。(チーム共用の AppManager 権限ユーザを作って招待したい…等)

なお Managed AppleID でサインインした端末は AppStore アプリのインストールができないため、TestFlight でのカスタムAppテスト目的で上記を行う場合は少し工夫が必要です。また改めて別投稿で紹介します。

 

以上、App Store Connect でユーザを作成する時にあらかじめ知っておくと良い豆知識を紹介しました。App Store Connect でのユーザ管理の際に役立てて頂ければと思います。

本サイトはACNメンバーの(株)フィードテイラーが運営するエンタープライズiOS情報サイトです

最近の投稿