2026.4.26
Apple Business ファーストインプレッション(3) – 業務用のアプリ配布 –
これまで以下のような投稿で、デバイス管理の導入の敷居が低いことについて、また遠隔操作や設定/制限の配布機能について紹介してきました。
- Apple Business ファーストインプレッション(1) – iOS端末管理(MDM)導入のハードルが無くなった –
- Apple Business ファーストインプレッション(2) – フルスペックな設定/制限の一斉配布機能 –
さて、今回はアプリの配布です。これもデバイス管理(MDM)の重要機能です。結論を先に書くと、Apple Business におけるアプリ配布は AppStore アプリに限られ、.ipa直接配布は既存のMDMに頼る必要がある、となります。
詳しくみてみましょう。
アプリの配布
端末管理(MDM)を導入したいと考えるもう一つの理由が、アプリの配布です。
Apple Business の前進である ABM では、App Store アプリの一括購入のUIだけを持っていました。購入するのはアプリのライセンスで、ライセンス情報をサードベンダーMDMに同期し、ライセンスの配布をもって App Store アプリの配布としていました。本サイトでも過去に紹介しています。
購入はABMで、配布はMDMでした。が、Apple Business はその両方の役割を担うことができます。購入も配布も Apple Business。シンプルですね。対応するアプリは大きく2種類です。
- AppStore公開アプリ
- AppStore非公開アプリ(カスタムアプリ)
要するに AppStore のアプリです。後者のカスタムアプリについては過去投稿がこちらに一覧でありますので、参照して下さい。Apple Business のグローバルメニューには「アプリとサービス」というメニューがあって、ここをクリックすると…

「アプリとブック」という項目しかありません。なぜ間に1階層わざわざ設けているのだろう…?と意味深に感じますが、気にせず [ストアを開く] ボタンをクリックすると、こんな画面になります。

ABM時代と全く一緒ですね。UIも何一つ変わっていませんので、今回の Apple Business の登場はアプリ関係には影響がないことがよく分かります。

(ABM時代と同じ操作感。検索してアプリを選び、数を入力してライセンス入手する)
公開アプリであれ、非公開のカスタムアプリであれ、ライセンスを一括購入したアプリは前回紹介した「構成」と同様に、設計図である「ブループリント」に紐付けることができます。

(開発事業部というブループリントにGmailアプリを紐づけている様子)
あとは「ブループリント」を端末に適用するだけですね。適用した端末にアプリがインストールされます。このように、購入から配布までが Apple Business 内で完結するので、非常に分かりやすくなっています。
アプリ配布で Apple Business ができないこと
前回投稿で紹介した、設定/制限の配布では Apple Business でできないことは皆無でしたが、アプリ配布では少し様子が異なります。機能面で明確な差異が2つあります。
- (A) .ipa ファイルの配布
- (B) Managed App Configuration / Managed App Framework の対応
後者を使っている例は稀だと思いますが、前者は上場企業を中心とする大手企業ではまだ利用しているところもあるでしょう。いずれも、執筆時点での Apple Business では使えません。順に見ていきましょう。
(A) .ipa ファイルの配布
Apple Business では、.ipa ファイルをアップロードしてアプリとして登録する機能がありません。

(AppStoreのアプリ以外は扱えないように見える)
よって、ADEP (Apple Developer Enterprise Program) で In-House 配布方式をまだ使用していたり、ADP (Apple Developer Program) でも Ad Hoc 配布方式を本運用で使っていたりする企業は、そのままでは Apple Business に移行できないということですね。

(Xcode の Organizer から In-House 形式の .ipa を生成しようとする様子)
無償で台数制限がない Apple Business は、エンドユーザ企業によっては結構なコスト削減が見込まれるため、業界全体に結構な移行モチベーションが働く可能性があります。が、ipa ファイル が足枷になります。.ipa ファイルを MDM に登録する運用をしている企業は Apple Business には移行できません。
アプリ周辺に、以下のような手を入れることができれば移行は現実味を帯びてきます。
- (1) .ipa 配布をやめて OTA (Over The Air) を使った手動インストールに切り替える
- (2) AppStoreアプリ(非公開ならカスタムアプリ)に移行する
- (3) ネイティブアプリをやめてWebアプリにする
(1) は過去にOTAとは何かの投稿で紹介していますので参照してください。また、(2) についてはこちらの全投稿を見てカスタムアプリ化して、Apple Business を使ってライセンス購入・配布ですね。
(3) も過去に紹介しています。本当にネイティブアプリでないといけないのか?という、そもそもの問いは常に有用です。以下投稿を参考に検討すると良いでしょう。
- Webクリップとは何か(1) -Webサイトのブックマークを配布する-
- Webクリップの作り方と各設定値を徹底解説 [前編] -Webクリップとは何か(2)-
- Webクリップの作り方と各設定値を徹底解説 [後編] -Webクリップとは何か(3)-
いろんな事情でどれも採用できない場合、Apple Business への移行を諦めるしかありません。まぁコスト見合いでよすね。.ipa ファイル直接配布からカスタムアプリに移行して、ランニングコストを節約するのかどうなのか。
業務用アプリ関係は弊社の得意とするところですので、有償になりますが宜しければご相談下さい。
(B) Managed App Configuration / Managed App Framework の対応
Managed App Configuration は、デバイス管理(MDM)とアプリが連携して、アプリ固有の設定を一斉配布する技術です。この技術を採用しているアプリを使っている場合、Apple Business は対応していませんので移行は不可となります。
Managed App Configuration については以下をどうぞ。
実際にありそうな例は以下です。
- LINE WORKSの非業務用端末での利用制限機能(外部MDM連携
- Chrome の Google Workspace 連携でのポリシー設定機能
とかがそうですね。該当する場合は Apple Business には移行不可です。
が、Managed App Configuration を使っているから未来永劫移行が不可ってわけではないかも知れません。先の投稿で言及しましたが、Apple Business にこの機能が搭載される可能性は十分にあります。というのも、WWDC 2025 で Managed App Configuration が進化した、Managed App Framework という仕組みが発表され、デベロッパーには移行が推奨されたからです。

(動画中にMDMが何度も登場する。この機能に Apple Business が対応する可能性は…)
移行先技術である Managed App Framework を使えるように、 Apple Business が進化する可能性は低くないでしょう。そうすれば、アプリ側も対応してくれる可能性が高まりますし、最終的には移行が可能になるってことですね。
ということで、今回は Apple Business のデバイス管理(MDM)における「アプリの配布」機能について見てきました。前回投稿の設定/制限系の配布と違って、アプリ配布ではサードベンダーMDMでなければ絶対にできないことがあるのがポイントです。
次回は、Apple Business をいざ始めるとなった場合の「チェックイン」周りについて紹介してみようと思います。