2019.11.28

ADEP (Apple Developer Enterprise Program) とは何か

iOSアプリ開発では、Apple Developer Program という Apple との契約が必要になります。ただ、ひとことに「契約」と言っても Apple との契約には幾つか種類があり、それがエンタープライズでのiOSアプリ開発を少々ややこしいものにしています。

本稿では Developer Program の種類と、ADEPをどのような時に選ぶべきかをおさらいしておきたいと思います。

Apple Developer Enterprise Program
 

Develorer Program の種類

2019年現在、Developer Program は以下の通り3種類あります。

種類 ADP ADEP iDUP
AppStore 個人/法人 法人 教育機関
年間料金 ¥11,800 ¥37,800 無料



AppStore
InHouse
AdHoc
Development

ADP : Apple Developer Program

AppStoreでのアプリ公開を前提とした Developer Program で個人と法人が対象です。アプリ開発の書籍やスクール教材でよく見かける契約手続き紹介に出てくるのはこちらです。

ADEP : Apple Developer Enterprise Program

法人のみが契約可能な Developer Program です。AppStore で公開しない社内専用アプリを開発する場合、こちらを選択します。(詳細は後述)

iDUP : iOS Developer Universal Program

学生にアプリ開発教育をする教育機関のみが契約できる Developer Program です。教育用途のため配布方法が限られているのが特徴です。本サイトでは扱いません。

 

Developer Program と配布の関係

Developer Program の本質的な違いは、配布方法の差です。配布とはAppleのドキュメントで Distribution と表記されます。開発したiOSアプリをどのようにiOSデバイスにインストールする(させる)のかの形態を表しています。

冒頭の表の通り、配布方法には AppStore / InHouse / AdHoc / Development の4種類があり、ADEPだけがInHouseという特別な配布方法を使うことができます。

では、InHouse 配布とは一体なんでしょうか。何ができて、何ができないのでしょうか。表にすると以下のようになります。

AppStore InHouse AdHoc Development
用途 リリース リリース 開発/評価 開発/評価
インストール可能なiOS端末数 無制限 無制限 100台(端末種別毎) 100台(端末種別毎)
デベロッパー組織外端末への配布 不可 不可
アプリ配布手段の用意 Apple
(AppStore/
CustomApp/
TestFlight)
自由
(USB/OTA)
自由
(USB/OTA)
自由
(USB/OTA)
アプリ審査 あり なし なし なし

InHouse が特権的な配布方法であることが分かるでしょうか。審査は不要、インストールする端末数は無制限、配布手段も自由です。

審査不要ならバグ修正版を当日リリースできますし、買って箱から出したばかりのiPadに無設定でいきなりアプリをインストールできます。イントラネットに自社専用アプリストアを作ったり、ABM/DEP/MDMを連携して電源ONにしたばかりのiPhoneに自動でアプリを強制インストールする運用も可能になります。

このように、InHouseでは企業がiOS端末を活用し易いよう、あらゆる制限が排除されています。自由裁量が最大限に確保されている特別な配布方法であり、この特別な InHouse 配布を使えるのが ADEP (Apple Developer Enterprise Program ) のみとなります。

自由が欲しいなら InHouse。 InHouse なら ADEP というわけです。

 

InHouse唯一最大の制限

企業用アプリにとても都合の良いInHouseですが、守るべきたった一つのルールがあります。それは、InHouse 配布するアプリは、ADEP契約主体の組織外の人が使う端末にインストールさせてはいけないということ。従業員や業務委託者だけがインストールできるように、厳重な権限管理のもとアプリ配布をおこな必要があります。

例えば、ADEPを契約して開発したアプリを自社の公開サーバから不特定多数のユーザにInHouse配布することは厳禁です。(物理的にはできてしまいます)

実際によくあるご相談ですが、

  • AppStore上でオープンにしたくないが、一般ユーザのiOS端末へ自由にインストールさせたい
  • 審査されたくはないが、自社以外の会社の端末にも制限なくインストールさせたい

といった要望を叶えることはできません。なぜならいずれも組織外端末へのインストールだからです。この制約の抜け道は皆無です。例外はありません。

ルール違反をした場合、ADEPの契約を破棄される場合があり、最悪ビジネスや業務が停止する可能性もあります。そのようなリスクを背負うのは得策ではありませんので、InHouse配布するアプリを開発する場合はADEPについて見識あるベンダーに相談した上で進めるべきでしょう。

 

以上、Developer Program と配布の関係についてのまとめでした。

当社は、ADE や InHouse のほか、ABMやMDMやDEPを含むエンタープライズiOS全般について多数の知見と実績を保有しています。開発・導入・運用の御支援をさせて頂いておりますので、ぜひ当社コンサルティングサービスを御利用下さい。2010年からエンタープライズiOSを手掛けている経験と知見に基づき、コストパフォーマンスの高いアドバイスをさせて頂きます。