2023.3.20

初めて業務用iOS端末を導入する企業が管理用として購入すべきMacと購入方法 (2023年春)

iOS端末の業務導入で初めてApple製品を使うことになる企業は少なくありません。そのような企業から頂く質問が「Macは何を買えばいいですか?」です。SIerやアプリ開発会社から「どんなMacを勧めたら良いですか」と聞かれることもあります。


(Apple at Work のサイトでは管理端末として MacBook が映っていることが多い)

ということで本稿では、業務でiOS端末を導入することになった場合の管理業務用Macのお勧めチョイスと、その購入方法について紹介します。以下目次です。

順に見ていきましょう。

 

全てのMacがiOS端末管理用途に十分すぎるスペック

ものすごく乱暴に書くと、2023年3月時点で Apple が公式に販売している Mac であればどんな Mac でも構いません。Mac のラインナップには、

等がありますが、いずれも端末管理の用途としては十分すぎるスペックを持っています。本サイトをご覧頂くと分かりますが、iOS端末管理用途で必要なことは、

  1. MDMの操作
  2. Apple Configurator の操作
  3. 独自業務用アプリのビルドや再署名 (極めて稀)

ぐらいで、いずれを行うにもスペックが不足することはまずないからです。従って、スペックの心配はさておいて、価格と使い方の両軸で選択すると良いでしょう。

 

価格と使い方で選ぶと選択肢は2つに絞り込める

使い方とは、iOS端末管理の業務をどのように行うか…です。管理業務においてiOS端末とどのように向き合うことになるのかで選ぶべきMacが異なります。

また、前節で「今売ってるものならどんな Mac でも構いません」と書いた通りどれでも良いわけですから、価格が安いほうが良いにきまってます。というわけで、買うべき Mac は以下2通りに絞り込むことができます。

端末の管理業務スタイル タイプ 機種
端末がある現場に行く必要がある ノート MacBook Air
端末を手元に送って貰うことができる デスクトップかノート Mac miniMacBook Air

MacPro, Mac Studio, MacBook Pro は、驚くほど高額でかつ、iOS端末管理業務に使うにはオーバースペックにも程があるという水準なので、通常は選択肢には入りません。

それぞれの最低モデルの価格(税込)は2023年3月時点で以下の通りとなっています。

タイプ 価格(税込)
MacBook Air ¥134,800〜
Mac mini ¥84,800〜

Apple 製CPU (Apple Silicon) の世代を選択できるようになっていますが、2023年春時点で最新のCPU(M2)にする必要はありません。Apple Silicon であるという時点で一世代前のM1であっても管理業務には超高スペックです。


(MacBook Air の購入でM1かM2かを選ぶ画面。M1でも十分高性能)

CPUを決めると次にメモリ/SSDの容量で選択肢が現れますが、いずれも変更不要です。デフォルトの最小スペックで十分です。


(いわゆるBTOができるが基本的には不要)

メモリを増設しないと Apple Configurator が快適に動作しない…なんてことはありませんので、安心して最低スペックのものを選んで下さい。また冒頭で書いた「3. 独自業務用アプリのビルドや再署名」の少し開発よりっぽい作業が必要な場合であっても十分です。

なお、価格優先で後者の Mac mini にする場合、いわゆるデスクトップ型なので、モニター・キーボード・マウスorトラックパッド等の周辺機器が必要になります。予備が社内にあるなら、それを使えば初期コストを安くできます。


(Mac mini は本体のみ。入出力装置は全て別途揃える必要がある)

iOS端末を導入後に、どのような管理業務体制となるかを考えて、ノート型にするかデスクトップ型にするかを決めましょう。BESTチョイスをあげてくれと言われれば、個人的にはノート型で最安価の M1 MacBook Air (¥134,800) です。

 

中古のMacではダメなのか?

ダメ…ではありませんが、オススメはしません。

Apple は Microsoft と違い、容赦なく旧ハードウェア・旧OSを切り捨てていく企業です。対応の遅い企業に配慮して InternetExplorer のサポート期間を何度も延命した Microsoft とは、根本的に思想が違う事を十分認識しておく必要があります。

Apple は古いものを使い続けることをよしとせず極力最新のものを使うことを要求します。公私ともに約20年Apple製品を使い続けている筆者の感覚的には、OSは2,3世代前まで、ハードウェアは5,6世代前までがサポート範囲です。


(2023年3月時点で最新のmacOSのサポート対象一覧。5,6年程度までがサポート範囲)

MicroSoft のほうが法人に優しい、Appleは厳しい…ということではありません。Apple が古いものを切り捨てるのはセキュリティの為です。購入したMacを長く使えるように、またセキュリティのために、管理業務用Macはなるべく新規に購入することをお勧めします。

中古Macを購入した場合には、以下のような困った事態になる可能性が高いことも覚えておくと良いでしょう。

  • しばらくは中古Macで管理業務ができる
  • ある年から新しいmacOSにアップデートできなくなる (最新OSの対象ハードウェアから除外される)
  • 結果、新しいmacOSに対応した Apple Configuratorを使えない (Apple Configurator も古いOSを除外する)
  • 結果、新しいiOS端末を適切に管理できなくなる (欲しい設定を含む構成プロファイルを作れない等)

数年前のモデルを中古で購入すれば、この状況に陥る年月が早く到来するということです。その点も考慮して本当に中古にするか検討して下さい。もし、導入しようとするiOS端末が2,3年の有期限的な用途だといった事情があるなら管理業務用Macは中古でも十分でしょう。

 

Macを買わないという選択肢はあるのか?

MDMでほぼ全ての管理業務を行うことができますので、Macを買わないという選択肢を完全には否定しません。有りといえば有りでしょう。


(ぶっちゃけMDMだけで管理業務はできる)

ただ Macを社内に置かないということは、管理業務でApple Configurator を使わないことを意味しますので、以下のような不自由を強いられることになります。

  • 端末に流し込む構成プロファイルを作成しにくい
  • 端末を監視モードに変更しにくい
  • 端末をDEP(ADE)端末に変更しにくい

特に、後ろ2つの監視モードとDEP(ADE)は昨今の業務用端末では MUST な設定ですので、正直 Apple Configurator を全く使わない運用は厳しいものがあると考えます。以下も参考にして下さい。

有事の際のサポートスピードや、柔軟な対応ができるかどうかに影響を与えますので、Mac無しでのiOS端末管理業務は余りお勧めしません。円滑な管理業務はメーカ標準・メーカ推奨で揃えてこそです。また、Apple Configurator に触れることで、管理業務スキルが身につくという一面も忘れてはなりません。

結論はこうです。

iOS端末管理業務に十分精通している人が「ウチならMDMだけで十分だ」と判断できる場合を除き、iOS端末導入で初めてApple製品を導入する企業は、管理業務用のMacを必ず購入すべきです。

 

Macはどこで購入すべきか?

色々と選択肢が考えられますが、自社に都合の良いスタイルを選ぶと良いでしょう。以下に主だった選択肢を列挙します。

会社のルール上、現金やカード決済が難しく、買掛けの請求書払いしかできないなら (D) か (E) です。もしこちらのページに普段IT関連機器調達先としている企業があるなら、そこに依頼するのが一番手っ取り早いでしょう。

Apple と直接やりとりがしたい場合は (B) か (C) か (E) です。(C) のリアル店舗なら、各店舗に法人部門の方がいますので、店内スタッフの方に法人として購入したい旨を伝えると対応してくれます。場合によっては (E) を用意してくれたりもしますので尋ねてみると良いでしょう。ちなみに弊社は (E) です。


(弊社専用に用意して貰った Apple Store Online。ヘッダ部分に「for FEEDTAILOR INC.」と弊社名が明記されている)

また、購入ではなくリースという手段もあります。

が、一般のリース会社からのMac調達は需要と供給のバランスから高額過ぎるため推奨されません。唯一オススメできるのは、Apple Financial Service の利用です。車の残価設定付きリースのApple製品版と言えるサービスですね。


(再販価値の高いApple製品だからこそできる残価設定付きリース)

条件が厳し目ですが、国内であれば Too さんが窓口になりますのでこちらを参考に問い合わせてみると良いでしょう。

 

以上、管理業務用のお勧めMacについての紹介でした。iOS端末を初めて業務に導入する場合は、Macの同時購入が強く推奨されます。参考にして頂ければと思います。

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